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剥き出しの欲望
目を見開く祐羽の上で男はネクタイをクイッと緩めた。
「…さぁ、これから気持ちいいことしよう」
男がニタリと笑った。
信じられないという顔で、祐羽は眉間に皺を寄せて絶望に顔を曇らせる。
「…嫌です」
拒否の言葉を紡ぐが、震えて掠れた声しか出なかった。
男はエッチをしないと自分で言っていたじゃないか。
「ぐ、愚痴を聞くだけって…‼」
愚痴を溢すのを聞いて貰うだけと言っていたのに、嘘だったのか。
「うんうん。それを信じちゃう純粋な君が可愛いくて仕方ないよ~」
「う、うそ…嘘だったんですかっ⁉」
男の息がかかりそうなほどに、顔が近い。
「嘘かどうかは、これから確かめてみるといいよ。グフフフフッ」
気色の悪い笑いを堪えながら、男は祐羽の体を舐めるように見つめる。
その視線に、ゾゾッと悪寒が走る。
どうして、こんな目に合わなければならないのだろうか。
自分はどこからどう見ても平凡な高校生だ。
お金もなければ才能もないし、女の様な見た目でもない。
それなのに、この短期間の間に性的な扱いを受けてしまうのは何故だろうか。
不幸な体質と思ったことはないが、ここに来て運が尽きたのかもしれない。
祐羽がそんな考えを思い浮かべている間に、男は上半身をすっかり脱いでしまっていた。
「何、考えてるの?こっちに集中しようね」
妙な猫撫声で言ったかと思うと、男は祐羽の胸にある小さな飾りへと指を絡めた。
「あっ‼」
透けたキャミソールの上から乳首を摘ままれて、その痛さに祐羽は短い悲鳴を上げた。
その声に気を良くした男が「ヒヒヒ」と、喉に貼り付いた様な笑いを溢した。
その目は三日月の様に細められていたが、卑猥な色は隠しきれていなかった。
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