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突き刺さる視線
九条も鋭くも二重のどこか甘い瞳を祐羽に注いだまま逸らさない。
ゆっくり頷くと、九条は目を逸らして身を起こした。
顔が離れたことでホッと安心した祐羽は、部屋の隅へ転がっている男に気がついた。
先程まで自分に無体を働こうとしていた男だ。
呻き声を漏らしながら、倒れていた。
それを見て、九条がやったことだと知る。
九条は特に気にする様子もなく、後ろから入って来た眞山に何事か声を掛けていた。
廊下でも数名の組員が店員と揉み合っているのが、分かる。
「…助かった…?」
そんな様子を見て、祐羽は安堵の溜め息をついた。
ベッドの上で座り込んでいた祐羽は、助かった安心感から気持ちが浮上していくのを感じていた。
このまま帰らせて貰おうと、九条を見た。
「‼」
すると、同時に九条と目が合う。
その瞬間、祐羽の心臓がドキッと緊張に締め付けられたのだった。
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