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考察

九条という男。 圧倒的な支配者然とした雰囲気を持っている、大人の男だ。 まだ会って間もないというのに、こうも関わる事になろうとは祐羽は思ってもみなかった。 それが今こうして、男の家に連れてこられて風呂を借りている。 人生はどう転んで行くのか、分からないものだ。 「ふうっ~気持ちいい。ちょうどいい感じ」 体を洗い終わった祐羽は、溜めてあった湯加減を確かめて湯舟へと浸かった。 広い浴室なだけに、湯舟も大きく足をしっかりと伸ばせた。 うっかり湯の中に沈んで溺れないよう気をつけながら、しっかりと浸かる。 「色々あったけど、何とか助かったな」 それもこれも、偶然にもやってきた九条のお陰だ。 九条が来なければ自分は一体どうなっていたか。 男の慰みものにされて、親に内緒で体を売り、まともな生活は遅れなくなっていただろう。 「本当に感謝しなくちゃだよね」 それにしても…と思う。 九条とは、何か縁があるのだろうか。 九条もヤクザという商売をしている男だ。 どんな悪どい行いをしているかは、自分には分からない。 けれど、こうして何度か助けてくれ風呂まで貸してくれるのだから、そこまで悪い人間ではないのかもしれない。 「よし。お風呂上がったらお礼を言って、それからもう帰る事を伝えよう」 ヤクザという肩書きと、大人という自分とは違う立場。 そして整いすぎた美形の迫力に、正直怖さも感じている。 けれど話せば分かってくれるはずだという思いが、祐羽の心に余裕を持たせていた。 「それにしても、遅くなっちゃったなぁ…。お父さんとお母さん心配してるよね」 電話して近くまで迎えに来て貰おう。 ここに来て、呑気にも両親の心配を始めた祐羽だった。

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