ほんの少し確認の為だと言い聞かせて、祐羽はスマホを取り出した。 中瀬から連絡があったらどうしよう、何か無理難題をふっかけられたらどうしようという思いが脳裏を過る。 けれどいつまでも見ない訳にはいかない。 これには他の人からの連絡も入るようになっていたし、中瀬をブロックする勇気も持ち合わせていなかった。 ブロックしたところで家も名前も覚えられているし、家族に何かされたら…と思うとそれも出来ない。 恐る恐るスマホを確認した。 「あっ！！」 誰かからの着信の知らせがあった。 祐羽は思わず声を上げてしまった。 慌てて口を押さえるがもう遅い。 気がつくと周囲からの視線を一身に浴びてしまい、恥ずかしさから俯いた。 スマホをギュッと握りしめ暫くしてから、そっと画面をしっかりと確認する。 そこにはバスケ部の先輩や友人からのメッセージが入っていただけで、他は携帯会社からのお知らせだった。 「はぁぁ～…。良かった…」 大きく安堵の息をつく。 スマホを見るだけで毎回こんな思いをしなければならないのかと思うと、中瀬からの連絡はやはりブロックしたくなる。 思わずブロックのボタンの上で、祐羽の指は暫く迷っていた。