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確認
ポテポテと怠い体を叱咤してホームを歩く。
多少響くものの痛みは昨日に比べれば酷くない。
不本意ではあるが塗ったあの軟膏が項を奏したのだろう。
家から駅までは自転車だ。
乗ると痛くて響くが、両親に訝しく思われることは避けたくて、祐羽は若干顔をしかめながら漕いで駅まで向かった。
それから駐輪して構内を進みホームへ着くと、時間に間に合った事にホッとひと息ついていた。
祐羽は電車を待つ間、鞄に入れているスマホの存在が気になって気になって、仕方なかった。
意識しすぎているせいか、変な汗までかいていた。
実はあれから怖くて、一度も開けないでいた。
ホームへ電車が滑り込んで来て、祐羽はサラリーマンやOL、学生に混ざって乗り込む。
それからシートに腰を下ろした。
祐羽の住む街は、都心に近いが少しだけ外れているので朝も毎日座れるくらいには空いていた。
いつもの車両のいつもの座席にだいたい座る人が決まっていて、祐羽もそのひとりだ。
シートの端に座って隣には50代くらいの女の人で、反対の出入口付近にはサラリーマンがポールに掴まって外を眺めている。
ここだけは、いつもの変わらない日常だ。
いつもと違うのは、祐羽の心の内だった。
「…はぁっ」
電車が走りだし、祐羽は溜め息をついた。
自分だけが日常から切り離されてしまった様に感じる。
それもこれも九条達のせいで、そして今の懸念はこの鞄に入っているスマホだった。
やはりどうしても気になって、少し鞄を覗いてみる。
そこにはスマホ。
少しだけ確認の為…。
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