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横顔も

祐羽は一番妥当なところでシネマチャンネルを選んだ。 名作ばかりだし、これなら九条も他の番組よりは内容的にも観易いだろう。 そして1作が二時間からの物ばかりなので、静かに黙って観ていれば問題ない。 そして時間がくれば必然的に帰れるので、とてもいい選択といえた。 祐羽は問題解決だ!と思いながらシネマチャンネルを出す。 ちょうど先程までやっていた映画が終わったらしくエンドロールが流れていた。 どうやら一昨年ヒットしたハリウッド映画のアクション超大作だった様だ。 普段あまり映画を観ない祐羽もこの作品は映画館に観に行った。 次は何だろう?と祐羽は若干ワクワクしていた。 理不尽に連れて来られたとはいえ、残りの数時間をただ退屈に息苦しく待つよりは、楽しい方が断然いい。 有難い事に、九条は今のところ自分に無体なことを働くつもりはないみたいなので、その点は安心出来た。 「…ぁっ」 映画のせいか音量が小さいので少し上げようとすると、手元が滑りリモコンが落ちてしまった。 祐羽が拾う前に九条がリモコンを手にして、音量を上げてくれる。 「すみません…」 「いい。始まるぞ」 九条はリモコンを自分の前のテーブルに置くと、視線は画面に向けたままそう言った。 「あっ、はい」 祐羽は慌てて視線を画面へと戻すと、すっかり九条の腕から逃れた事を忘れて、ソファに深く腰かけた。 画面には映画会社のロゴが出てきて、海外の映画という事が分かる。 画像の鮮明さからすると、少し前のものだと思われた。 オープニングとタイトルを観たけれど、祐羽の記憶には全くない。 元々あまり映画に詳しくないのだから仕方ないのだが…。 チラッと九条を見たけれど、先程と全く変わらない。 変わったといえば、膝にあった手が顎に添えられている事だろうか。 …横顔もカッコいい。 ※突発アンケートご参加ありがとうございました♪

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