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料理と沈黙
「…!」
口に運んだ途端に舌が美味しいと叫ぶ。
美味しすぎる!!
食べる手が止まらない。
この料理を目の前の九条が作ったかと思うと、信じられなかった。
九条に料理の感想をひと言伝えたい。
ちょっと逡巡したものの祐羽は、目の前で自分のグラスにアルコールを注いでいる九条へ声をかけた。
「く、九条さん」
「…何だ」
「あのっ…、とっても美味しいです!」
九条は「ならいい」とだけ言って視線を外した。
「あ…えっと…作ってくださってありがとうございます」
「あぁ」
祐羽の礼に九条はそう返すと、無表情なままグラスのアルコールを口にしていた。
九条を見てみるが、こちらを見ることなく料理を口にしている。
イケメンは何してもイケメンだという代表例だろう。
何をしている訳ではなく食べて飲んでいるだけ。
それなのにライトの影響もあってか現実感が無い。
自分との男としての格差を実感してしまう。
「…」
「…」
カチャカチャとカトラリーの小さな音だけが耳に入る。
ここへ来てまた沈黙が訪れた。
九条は無口だし、祐羽から世間話をし掛ける勇気も話題も無い。
それでも食事は美味しいし、こっそり九条を見る事が出来るこの時間は不思議と苦痛ではなかった。
理不尽で怖い男に違いないのだが、一方でこうして料理を作ってくれたりと優しいのだから、前よりも落ち着いて九条と対面出来ていた。
沈黙が不思議と苦痛ではないのは…。
この短時間で少し気持が変化したのは確かで、自分は単純なのだろうか?
そう思いながら祐羽は食事を進めていった。
手作りの美味しい料理は、少食の祐羽でもペロリと食べられたし、大満足の晩ご飯となった。
※アンケートありがとうございました♪クリスマス辺り~Twitterにてアップしますのでよければ見て下さい。(本編終了後にこちらでもアップ予定です)
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