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第186話 影響

「「「ええーーーーー!!!?」」」 それには流石の部員達も大ブーイングだ。 「何でですか?!」 「どうして急に?!」 部員の質問はもっともだ。 今まで何の問題もなくやって来たのに、ここへ来て教育委員会は一体どうして? 「日曜日に関しては、成長期の子どもへの体への負担と、あとは働き方改革ってヤツだ」 監督の説明に「あ、それ知ってる」「聞いたことある」と声が上がる。 「ブラック部活ってあるもんな~。教師の仕事と部活動の監督の両立が大変って…」 それなら仕方ないな…と部員が顔を見合わせている側で、祐羽は顔面蒼白になっていた。 「試合や練習試合の時は大丈夫だから、これから短時間集中して練習していくぞ!」 「「「はいっ!!」」」 部員達は力強く返事をすると、帰宅する祐羽にそれぞれ声を掛けてさっそく練習へと散っていく。 これは子ども達への配慮や教師への働き方改革なんかじゃない。 「…九条さんだ」 祐羽の言葉は、部員達の声に掻き消されて誰の耳にも届かなかった。 その後、祐羽は挨拶をしてフラフラと体育館を出た。 下駄箱で靴に履き替えると、いつもより広く感じる門までの道程を歩く。 監督の話を聞きながら尤もらしい理由から、他の部員同様に仕方ないと思っていた。 時代の流れ、世論の意見。 今はネット社会、少しの選択ミスが大きくなってあっという間に世の中へと拡散されてしまう。 教育委員会もそれを踏まえての決定だと思っていたが、話の途中脳裏に思い浮かんだのは誰でもない九条だった。 九条が言っていたではないか。 『月ヶ瀬祐羽の高校のバスケ部に、日曜の部活を休ませるようにさせろ』 『平日の部活も時間を確認して、あまり遅くまでさせるな』 九条のたった一言で、決まってしまったのだ。 教育委員会をも動かしてしまう九条という存在。 その強大な力に、本当の意味で恐怖を覚えた。 ※あけましておめでとうございます!本年もどうぞ宜しくお願い致します。 お正月企画の小説については、アトリエブログをお読みください。

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