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第281話 お茶タイム

自分の心を落ち着けようと冷たいカップを思わず頬に充てると、気持ちいい。 それは、やっぱり顔が熱くなっていたことの証拠だろう。 少しして頬も脳も落ち着いた祐羽は、カップを持ち直すと、ストローでひと口飲んだ。 それにしてもさっきの通話相手は誰だったのだろうか? 「あの…さっきの電話の相手は、眞山さんですか?」 「あぁ」 九条がコーヒーをひと口飲んでこちらを見た。 ただ普通に紙コップを持っているだけで絵になる。 九条さん…見慣れてきたといってもやっぱり無理だ。 ずっと眺めていたい気持ちもあるが、そういう訳にもいかない。 いつからこんな風に思うようになってしまったのか? これもそれも九条が魅力的すぎるのがいけない。 ついマジマジと見つめそうになって、祐羽は慌てて視線を斜め下へと逃がした。 「眞山さん達、ずっと待ってくださってるんですよね…?」 気持ちを切り替えて、話題をそのまま眞山へと持って行った。 眞山と中瀬は自分と九条を見送って、はいサヨナラではない。 運転手も含めて、きっと九条が戻ってくるのを待っているに違いない。 「気にするな。それがあいつらの仕事だ」 それはそうだが、よく考えると時間外ではないだろうか? 「それに電話したのを聞いただろう?今頃のんびりしてる」 自分が九条を誘ったせいで予定外の残業になってしまったであろう事は分かるが、かといって今更どうにもならない。 それに九条がそう言うのなら、このプライベートの行動も含めて仕事なのだ。 確かにヤクザの親分には常に部下が着いているイメージがあるには、ある。 ヤクザの世界にも残業手当てがあるのだろうか? 「あの~九条さん。…この時間って、部下の方へ残業代って、出ますか?」 「……」 祐羽は気になってしまい思わず質問してしまった。

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