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第282話 優良企業
自分のせいでこうなっているので申し訳なくて気になって思わず聞いてしまったが、よく考えると失礼極まりない質問だ。
「あっ、す、すみませんっ!今日は僕が誘ってしまったせいで…だからそのっ、気になってしまって…」
ほら、九条さん呆気に取られてる!
子どもが、しかも誘った本人が言うんだから図々しい上に、呆れるよね?!
言われた九条は瞬間、微妙な表情を浮かべて、それから目をスッと細めた。
「安心しろ。俺のところは優良企業だ」
「そ、そうですか~!」
ヤクザでも九条さんの所は、優良なところなんだ!
良かった~。
ヤクザに関して優良もなにも無いのだが、祐羽は九条の言葉を素直に受け取り心底安堵の息を吐いた。
「はぁ~。それなら良かったです!待ってもらってる事も含めて、お茶飲んだら眞山さん達のお土産一緒に見ませんか?」
「………そうだな」
九条の返事を貰った祐羽は、喉が乾いているのと早くお土産を見たくて、ストローをせっせと吸った。
お土産何がいいかな~。
そうしてSサイズのカップは、あっという間に空になった。
とりあえず最後までズズッと吸ってみる。
そして横を確認するが、九条はまだのんびりコーヒーを口にしていた。
もう少し待とうと思い、今度はストローで氷をつついてみたりするが、九条はまだ時間が掛かりそうだ。
九条さんまだかな?
そうだ…!
スマホを取り出して、水族館のお土産コーナーを閲覧する。
土産は何がいいだろうか?
たくさんの土産物の紹介一覧は、こうして見るだけで楽しさに溢れ時間潰しに丁度いいのだ。
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