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第366話

脱衣所に滑り込むと、直ぐに着ていた服を脱いだ。 それから浴室でシャワーを頭から浴びると髪に直ぐ様シャンプーとリンスを施し最後に洗い流す。 綺麗にしなくちゃ、綺麗にしなくちゃ恥ずかしすぎる! そう強く念じながら洗い流し終わった時だった。 「ひゃーっ?!!」 背後からいきなり抱き締められた。 まるで幽霊でも出たかという絶叫にククッも忍び笑いが聞こえた。 「俺も入る」 「九条さん?!えっ、何で?!」 まさか九条が入ってくるとは思わずパニックになる。 「あのまま放置されては堪らないからな。ついでに俺も入ればいいだろう?」 なに食わぬ顔で言ってから祐羽の首筋にキスを落とした。 「嫌だっ!まだ汚いからっ!」 「汚いなら洗えばいい」 すっかり気を抜いていた祐羽の心臓は後ろから抱き締め囁かれ、おまけにキスまで落とされて慌てふためく。 それに加えて、祐羽の心臓は止まりそうな程に早鐘を打つ。 しかもよく考えたら汚いとか以前の問題に気がついた。 「そ、それに恥ずかしいんですけど!!」 明るい場所でこうして裸を晒すのは恥ずかしさ極まりない。 それから密着する体。 「今更だろう」 「えっ、いや無理です。本当に出て行って下さい…!あと放して下さい、お願いします!!」 「うるせぇな」 「ふっ、…んっ」 九条はそう言って背後から祐羽の顎を捕らえると、原因である唇を有無を言わさず塞いできた。 キス初心者の祐羽は当然の如く直ぐにその抵抗を奪われる。 背中に感じる九条は、同じく裸なのが分かる。 熱い肌が重なり逞しい胸筋がピタリと背中に当たっており、男を感じさせた。 シャワーが流れる中でも唇を合わせた音が耳に響いた。 「はぁっ、…あ…ん」 舌を掬い絡め宥められ唇が離れる頃には、既に祐羽は胸を大きく喘がされることとなっていた。 「あっ、ん、…ハァッ…ハァッ…」 ガクッと力が抜ける祐羽を後ろからしっかりと支えた九条は、近くのポンプをプッシュするとボディーソープを掌に出した。 「まだだろう?洗ってやろう」 「…っ?」 そう言って大きな両の掌が背後から前へと回ってきたかと思うと、祐羽の胸へヌルリとした感触がした。

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