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第378話
ご、ごめんなさい…。
九条さんが怖いんじゃないんです。
九条さんの入れるのが…。
九条を拒否したという申し訳なさから胸の痛みを抱える。
繋がりたけど、痛みが怖い。
今度こそアソコが裂けたりしたら…。
でも九条さんがやりたい事してあげたい。
でもアソコにあの大きいの…。
「祐羽」
葛藤で頭をグルグルさせていると、九条が伸び上がってきた。
指の隙間から見ると、目の前に九条の顔がある。
「優しくしてやる」
とても真摯な瞳で見つめながら九条が言った。
「無理矢理はしない」
「…」
「ゆっくりお前が受け入れてくれる所まででいい」
「……」
僕が大丈夫な所まで?
「少しだけでいい」
「…」
「お前の中へ入りたい」
「く、九条さん…っ」
顔を隠していた手を九条によって左右に外された。
薄暗い中で見つめ合うが、九条の瞳に優しい光があるのが見えた。
その優しい中にも男の熱が垣間見える。
黙りこんだ祐羽に、九条は強くも何処かせつない声音で言った。
「今日俺のモノになったお前を絶対に、今抱きたい」
もうそれだけで十分だった。
九条の気持ちが物凄く伝わってきて、胸が震えて泣きそうになる。
今までの理不尽やことや怖かったこと、無理矢理された痛みも過去の出来事として自分の中で記憶の箱へと仕舞われていく。
忘れないけど、今はもう必要の無い記憶だ。
その記憶さえ過去の遺物としてしまえば、感情は別の方向へと転がり始める。
僕も九条さんと同じ気持ちだ。
「僕も」
祐羽は1度視線を外したが、意を決して九条を見た。
「…僕も、九条さんと同じ気持ちです」
「……」
「もう、…大丈夫です」
そして安心させるように静かに笑って見せた。
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