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第377話 ※
目線をやって確認すると、足の間に九条が体を入れている姿が映った。
次に何が待っているのか、祐羽は理解した。
や、やるんだ…。
祐羽はゴクリと息を飲んだ。
この先を想像して、祐羽は緊張から急速に息苦しさを感じた。
全身が全て心臓になった様で、頭はあの日を嫌でも思い出す。
あの日。
九条の家に連れ帰られた自分は、嵐に呑まれた。
あの時の九条は、自分に対して傲慢で乱暴なセックスを仕掛けてきたのだ。
誰ともセックスをした事もなければキスどころか、付き合った事もない。
彼女ができることなんて頭の隅にも無かった位に縁の無かった祐羽だ。
そんな恋愛にすら疎い祐羽を大きな体で押さえつけ、その剛直で九条は無理矢理貫いたのだ。
あと時の痛みと心のショックは計り知れない。
九条によって今まで知らなかった快楽も与えられたが、それよりも勝ったのはもちろん恐怖と痛みだった。
時間を掛けて何とか前を向いて体の痛みと共に心も落ち着いていき、そして九条と関わりを持つ中で優しさや色々な姿を知って…。
そして今夜、想いを交わしあった。
九条さんのことは怖くないし、大好きなんだ。
好きって思うし、好きって思ってくれてるって分かって本当に嬉しい…!
恋人同士がセックスをする事くらい、いくらお子様だ何だと言われている自分だって知っている。
知っているし、嫌じゃない。
けれど、あの日あの行為を完全に忘れたわけではなかった。
心は許していて体を繋げたくても頭からは拒否する指令が下りてくる。
体も痛みを覚えていて勝手に動いて拒んでしまい、おまけに勝手に口から本音が出てしまった。
「ま、待って、下さい…あのっ、だってアレするの…痛いから…」
九条に申し訳ない気持ちになり顔が見れない。
思わず顔を手のひらで隠してしまう。
再び九条と体を繋げる?
無理かもしれない。
「う、怖いぃ…」
祐羽は小さな声で訴えた。
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