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第400話 4
その間にもぼんやりとしていた少年くんが、今度はいそいそとスマホを取り出し始めた。
俺には分かった。
アイツの写真を撮るつもりだ。
ソワソワしてる様子が伝わり、なにより表情がキラキラしているからだ。
まぁカッコイイから分からなくもない。
しかし、残念なことに写真を撮ろうとした時に限って男がこっちを見てきた。
なんというタイミング。
いいぞ、イケメン!
俺は隅の床に同化したまま心でガッツポーズをした。
少年くんには申し訳ないけれど、俺的に面白くないので結果オーライだ。
あからさまに残念そうに表情を曇らせつつ、誤魔化すようにクラゲをパシャパシャ撮っていく。
そんな少年くんを男が見ている。
…なんか、その視線…あれだよな。
そう。
なんかアレだよ、アレ。
知らん顔してても本当はお前ら好きあってるんだろ?みたいな。
少年くんはというとクラゲを撮っているみたいだけど、絶対にイケメンを撮るタイミングを見計ってるのが分かる。
ソワソワが俺にも伝わってきたから。
撮るのは無理だぞ~。
男の様子から少年くんの考えは筒抜けの気がする。
現に少年くんとタイミングをずらせて視線を投げているんだから。
そのうちにイケメン男は、視線をしっかりと外して別に向いた。
急にどうした?
俺が不思議に思った途端、微かなシャッター音が聞こえてそちらを見ると、少年くんが明らかに男にスマホを向けてシャッターを押していた。
水槽越しとはいえ男を撮っているのは、あからさまに分かってしまった。
本人は満足そうだ。
俺は直ぐに視線を男に向けると、イケメンは僅かに口の端を上げた。
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