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第436話 6

どの位そうしていただろうか。 心地よい気だるさの中を祐羽は次第に意識をはっきりとさせた。 「あ、何これ…。ど、どうしよう…」 もしかして、これが精液? 実を言うと祐羽にとって初めての射精だった。 その為に、はっきりと分からなかったのだ。 けれど少しの知識が手助けしてくれる。 これが精液だと。 初めての射精。 なんだか急に怖くなった。 保健の授業でも少し習った。 成長する上でおかしなことではない。 けれど余りの快感と知らない間に大人へと成長する体の変化に、戸惑いが大きい。 祐羽は気だるい体を起こして慌ててティッシュを掴むと、性器を拭う。 しかし初めての快感を得た性器には、それさえも刺激が強すぎた様で、祐羽はビクビクして体を丸めた。 「あっ、ううっ。もうイヤだ…」 過ぎた快感は、気持ちよさなど全く無い。 祐羽はパンツを引き上げると、汚れたティッシュをゴミ箱へと捨てた。 それから直ぐに布団へくるまると、ギュッと目を閉じた。 心臓がドクドクと高鳴ったままだ。 もうこんな事は、しない。 そう思いながら眠りについた。 翌朝。 目覚めた祐羽は、昨夜の事を思い出すと心は晴れず。 気持ちよさとエッチな事をしたというちょっと後悔に陥っていた。 父の徹底したエッチ断絶世界の被害が、こうして現れていた。

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