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俺は小動物コーナーの担当になったんだけど、爬虫類と鳥類の担当になって、ご機嫌だった。 犬、猫や熱帯魚、小動物のハムスターコーナーと違って、比較的客が少ない。 爬虫類は手の掛からないマニアか、ただ怖いもの見たさで覗いて行く程度。 鳥はたまに飼育経験の無い家族連れが、雛を飼いたいとやって来るので、とりあえず落鳥《らくちょう》だけはさせんなよ!!と、細かく説明している。 ついでに育て方のペーパーを渡しておく。 「ありがとうございました~」 そうして家族連れを送り出した。 それから少し店内の客が減った頃。 「ん?」 棚の向こうから声が聞こえてきた。 「可愛いね。羽の色、水色なんだねぇ」 男の子の声がする。 小学生か? 「綺麗だねぇ」 なんだか、ほのぼのした会話に俺は興味を持った。 品出しを途中にして、俺は棚の向こうの気になる少年の顔を見ることにした。 そこには高校生くらいの男の子がいて、鳥籠にいるインコへ話かけていた。 「ヨシヨシしてもいい?ありがとう」 そう言うと指を出して、どうやらインコの頭をカキカキしている様だった。 「フフフ。気持ちいい?」 少年が暫く相手をしていると、今度は隣のオウムが騒ぎ始めた。 相手をして欲しいらしい。 コイツはこのペットショップに来て五年になる、名前をオーちゃん。 オウムだからオーちゃんという安易な名づけだ。 バイト1年目の俺より先輩なんだけど、一応食いもんやってるのは俺なんで、立場を弁えてるらしい賢いヤツだ。

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