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おまけ

「お疲れ様でした。失礼します」 眞山が頭を下げるのも見ることも一切反応することもなくさっさと自宅へ戻った九条の肩には祐羽が居た。 まるで俵の様に担がれて大人しく運ばれていく。 なんだか機嫌がいまいちだと思ったが理由が分からず、そうしていたら車から降りてこんなことになってしまったという…。 「わっ!!」 肩からソファへと下ろされたかと思うと直ぐ隣に九条が座り、自分をジロリと見てきた。 え、何? 不機嫌は相変わらずで、はてなマークが飛びそうだ。 様子を伺っていると、九条が口を漸く開いた。 「あの女は先輩とか言ったな?」 「え、はい。…中学の時の園芸部の先輩ですけど…」 「つきあってたとかじゃないだろうな?」 まさかの質問に目が点になる。 僕に彼女? 「違います、違いますよ!ただの先輩です!!そんなワケないじゃないですか!!」 「お前が知らない女と話するのは初めて見るからな。疑う余地はある」 そう言いながら九条がふんぞり返る。 「セックス経験なくともキスしたりしてねぇだろうな?」 こ、怖い…!!! 九条の疑惑を晴らさなければ命が危ないかもしれない…。 「…僕、九条さんとおつきあいさせて貰うのが初めてなんです…彼女なんていたことありません」 それに第一に、僕は女の子と話すことさえ苦手なのに。 「…なら、いい」 九条はそう言うと祐羽の顎を捕らえて不意打ちで熱いキスをしてきた。 まだまだ下手くそな祐羽は、相変わらず 翻弄されっぱなしだ。 「…ぁ…んっ、…っ」 「こんなにキスが下手なんだから、分かってたはずだがな…俺もガキだな」 祐羽はキスで蕩けた顔で九条を見つめた。 「さて。俺の知らない女と許可なく喋った仕置きが必要だな」 「えぇっ?!!」 まさかの台詞に絶句している間に九条に抱き上げられる。 「ちょ、待って下さい!そんなの理不尽です~!!」 これは抗議しなければ!自分の人権の主張を~という祐羽の全力抵抗は全て封じ込められた。 そして九条によって悠々と寝室へ運ばれた祐羽。 祐羽が全て初めてという喜びを新たに噛み締めた九条により、お仕置きという名目で散々泣かされたのだった。

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