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「月ヶ瀬、くん…?」
「やっぱり…はいっ、お久し振りです」
祐羽が恥ずかしそうに、はにかんだ。
この3年会うことは無かった二人だが、どちらも大きな変化は無い。
竹田は相変わらずだし、祐羽は少しだけ背が伸びて幼い子どもから少年になった感じだ。
「…!!!」
呑気にほのぼのしていた竹田だが、ふと視線を感じて見ると、そこには大男が。
ジロリと睨まれるが、怖さと同時にあまりに整ったその顔にポカンと口が開く。
マ、マッドネス様…!!?
(リアル・マッドネス様…!!!)
隣の笠井が声にならない声で竹田にすがりついて来る。
「あ、中学の時の園芸部の先輩なんです」
なんて祐羽が紹介するとマッドネスこと九条は「そうか」とだけ言う。
「先輩、偶然会えるなんて嬉しいです」
「げ、元気そうで良かったわ…」
竹田は何とか笑顔を張り付ける。
マッドネス様の前で、正気でなんていられない。
「呼び止めてすみませんでした」
「こ、こっちこそゴメンね…」
「それじゃぁ、また。失礼します」
ペコリと頭を下げた祐羽と歩き出した九条を竹田と笠井は静かに手を振って見送った。
エスコートするマッドネス様とお付きの者達。
周囲をジロジロと警戒する男達に黒の高級車。
夜の町に高級車が消えていくのを見ながら、夢か現かと疑いたくなる。
「あれは金融ヤクザ、俺様攻めとみた」
「…だね」
竹田の発言に笠井が頷く。
ヤクザという疑惑や祐羽の身の心配など、どこ吹く風。
ふたりは直ぐにスマホを取り出すと、さっそくPuitterで呟いた。
その時の出来事に狂喜乱舞した腐ったPuitter民のお陰で、初めてバズるを経験したふたりであった。
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