「じゃぁ、そろそろ行くな」 「うん。バイバイまた明日ね」 ここに憧れの青春がある…！！！ 私もこんな彼氏ほしい！！ 女子部員達はハワワ～と目を輝かせた。 男子部員に負けるって…何が違うのかしら私達って…。 というか女子として生まれたのに、あぶないわね。 竹田は憐れな部員達を見つめた。 それからBLを愛する者として美味しい！と思う自分もヤバいんでは…と、遠い目をしたのだった。 ・・・・・ 中学を卒業して、早３年。 相変わらず地味で目立たないので、高校生活も地味だ。 けれど文芸部という名のオタククラブで毎日充実している竹田は幸せだった。 今日の帰りも友人の笠井とふたりでオタクのお店・アニメルトンというショップへ。 新刊とグッズに同人誌とホクホク顔で店を出ると、外はすっかり暗くなっていた。 しかし店の明かりも申し分ないし若い学生もまだ多い。 ふたりも腐った話しに花を咲かせながら歩いていた。 その時だ。 「わっ！」 「凄っ！」 小洒落たビルから数人が出て来たのだが、スーツで一般人じゃないのがどことなく分かる雰囲気に思わず声が漏れてしまった。 これは目を合わせない様にして、やり過ごそう。 そう思った時だった。 あれ？もしかして… 「あれ？もしかして竹田先輩ですか？」 目が合った相手の方が先に声を掛けてきた。