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「おはようございます」
野沢と華林が挨拶をして頭を下げて、それから上げる。
と、その男らしい顔が一瞬だけ華林を見た。
偶然ではあるのだが…。
「っ!!!」
今、私を見てくれた?!
キャーキャーキャーッ!!
心の中で叫んじゃう。
もしかして、九条さんも私を意識してくれてるとか?!
華林が内心五月蝿く叫んでいる間にも、九条は部下を従えて奥の社長専用エレベーターに乗り込んでしまう。
九条さん、九条さん!!
それから九条が扉の向こうへ消えるまでバサバサのつけまつげで縁取られた目から、熱い視線をこれでもかと送り続けたのだった。
ふうっ、心臓に悪かった。
「ねぇ、九条社長本当にカッコイイわねぇ~!」
「はいっ!!本当にかっこよすぎて、心臓がヤバイです!!」
それから少しの間、野沢と二人で九条の素敵な所はどこかを言い合うという楽しい時間を味わった。
「あっ、お客様よ。仕事、仕事」
「はいっ」
返事をして、華林は表向き平静を装い業務へと戻った。
まさか九条さんが私を見てくれたなんて、口が裂けても先輩達には言えない。
だって、そんな事を言ったら嫉妬で険悪になるかもしれないし。
仕事は楽しくやりたいもんね。
ごめんなさい、先輩。
抜け駆けすることになっても、許して下さいね!
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