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「え?知らなかったの??」 「え?」 次の日。 出勤した華林は、一緒に飲んで愚痴を聞いてくれた先輩の林に、昨夜の九条の事を話した。 さすがに、いかがわしい店からキャミソール姿の男の子を連れ出したとは言いづらかった。 なので、ヤクザっぽいと匂わせてみたのだが…。 「社長の裏家業については、暗黙の了解っていうか…。知る人ぞ知る、ってヤツよ」 「マジですか~?」 「マジよマジ。まぁ、大半の…そういう事に興味なかったり遭遇でもしないと知らなくても当然よ」 林は何でもない事の様に言う。 「せ、先輩は何で知って…?」 華林が訊ねると、林はニッコリと笑った。 「恋する女は相手の事を知りたいじゃない?」 恋の力で、九条の裏の顔まで調べ尽くしたらしい。 「まぁ、それでも社長がいいって女はごまんといるからね!ちょっと調べただけでも五人は最低でも常に社長に媚びてるわよ」 「ええっ、五人?!それって社長の恋人ですか?」 華林は驚きに思わず声を上げてしまった。 シーッと林と二人で口元に人差し指を立てる。 「う~ん、違うと思うわよ。社長から女への扱いテキトーだったし。特定の女連れてないしね~。まっ、私みたいな素朴なビジュアルじゃぁ勝ち目はないわよ」 林は目鼻立ちのスッキリとした美人だ。 それでも太刀打ち出来ないとは…。 「…諦めますね、私」 「社長は目の保養。眼福として、ここから見つめさせて頂きましょ?」 林が華林の頭を撫でる。 「万が一、社長のシンデレラになれる事があるかもよ~?それまでは、他のイイオトコを捕まえて女を磨いておきましょ♪」 林の言葉に華林は、大きく頷いた。 「はい!!」 そんな夢の様な日は、来ない。 華林が見かけた少年を九条が美味しく頂いてしまい、それから夢だったら良かったのに…と強く祐羽が願う程の展開が待ち受けているとは、華林は勿論、祐羽も今は知らないのであった。

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