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白くてモコモコの生地が気持ちいい。 いつまでも触っていたい心地よさ。 「これ、いいかも…?」 さてデザインは?と思いながら広げてみると、まさかのうさ耳つきルームウェアだった。 タグには『モコモコうさぎルームウェア♪パジャマにもぴったり!!』と書いてある。 いい、かも…? 祐羽は男とはいえ、華奢だし問題なく着れるだろう。 男が着ても可愛いくないとは思うが、自分ならいざ知らず、祐羽なら似合いそうだ。 それに九条といえど、男。 こういうのも好きかもしれない。 今までの大人の女では経験ない事で、喜ぶかもしれない。 「会長の喜ぶ顔とか想像出来ない…」 万が一、喜ぶかもしれないと思うと我慢出来なかった。 中瀬はそれ以上考えるのを止めて、モコモコうさ耳ルームウェアを籠に放り入れた。 よし、あとはパンツだ! 中瀬はひとまず籠を持ってレジへと向かった。 それから荷物片手にブラブラ街を散策。 左右に店がひしめき合っていて、おまけに若者の買い物のメッカとして有名なので人の数が半端ない。 最近では外国人観光客が押し寄せて来ており、日本人と半々ではないかとも思える。 そんな人の波をかわしつつ、先程スマホで検索して見つけた男性物の下着専門店へと向かった。 少し入った場所のビルの2階にある。 カンカンカンと音を立てながら外階段を上がった所にオシャレな感じの看板が出ていた。 「っしゃぃませ~」 栗色に髪を染めたバイトっぽい店員の挨拶をスルーして店内を見回す。 自分の他にも数名の客が下着を物色中だ。 棚を見るとタイプ別、ブランド別、色別と順に並べられており一目で探せるという陳列に中瀬は感心した。 ふぅ~ん。中も綺麗でオシャレだし、陳列もいい感じ。 品数も結構充実してるし…専門店だけあるな。 「…どうすっかな?俺なら直ぐに決まるけど、アイツのはなぁ~悩む」 「お客さん、もしかして悩んでます?」 「は?!」 すると聞きつけたのか、さっきの店員が声を掛けてきた。 余計なお世話だ。 「いや。悩んでな、」 「ブランド好きですか?ならこっちですよ!」

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