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「うっ。言わないでください…僕、役に立てませんでした」 祐羽が恥ずかしさからと、情けなさからムッとする。 「そんなことはない。これで旭狼会の立派な姐さんだな」 「九条さん…」 チュッと洋風映画のお約束の様に、ふたりはキスを交わした。 ・・・・・ 山猫組から身を挺して組員を庇ったことから、祐羽は本格的に姐さんとして慕われることになった。 しかし、相変わらず料理の腕前は上がらないので、そこだけは組員から敬遠されている。 おまけに、もうひとつ問題が…。 それは祐羽と九条の夜の営みだ。 夜中、九条に激しく攻められた時は祐羽の艶っぽい嬌声が時々屋敷の廊下に響いた。 「あっ、あっ、あんっ、ダメぇ…っ」 おまけにボスの腰使いが激しいのが祐羽の声の乱れ具合から、遠くからでもまるっと分かってしまうのだ。 「アァっ……!!!」 果てる時の嬌声は正直ヤバい。 そんな時は、つい聞き耳を全力で立ててしまう。 そして例に漏れずオカズにしてシコシコ、ピュッピュするのは仕方ないし許してほしい。 おまけに翌日の祐羽はうるうるした瞳と気だるげなエロチックオーラを纏っているので、マトモに顔を見られない。 つい邪な想いが溢れそうになる。 そう…あのエロマンガやAVの様に…。 これだから人妻とは恐ろしい。 「高田さん、顔赤いですよ?大丈夫ですか?」 朝、さっそくすれ違い様に祐羽に声を掛けられる。 「えっ?!いえっ、大丈夫っす!!」 そう言った高田は昨夜は当番で起きていた為、うっかりトイレに行く途中エッチな声をハッキリと聴いてしまい、ひとり慰めた負い目があった。 それを知っている他の組員が、御愁傷様~と高田がトイレへ向かうのを見送った。 そんなことは露とも知らない祐羽。 「さて、1日頑張るぞ!!」 今日もこうして笑顔で極妻として闇の世界に生きる祐羽なのだった。

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