552 / 710

住宅街。 祐羽の家を出ると周りも住宅が並んでおり、コンビニ迄は歩いて10分弱の所にある。 少しだけ拓けた通りに行かないと駄目なのだが、そこまでは住人かその車以外はあまり通らない。 なので雨の中、道を歩くのは祐羽くらいだった。 時々車や自転車が追い抜かしていく。 雨が傘や地面に降り当たる音が凄くて、不思議な感じだ。 周りの音が聴こえない。 おまけに道沿いの家に植えられている木の枝葉から落ちる雨粒が、時折ボタッ、ボタボタっと傘に落ちて当たる音が何とも楽しい。 足元の水溜まりをピョンッと飛び越えてみたり、他所のお宅に咲く紫陽花を眺めたり。 思わず頭に雨に関する歌が思い出されて、懐かしい童謡を歌ってみたり。 そうして楽しく歩いていると、少し先に塊を見つけた。 ピョンッ。 ピョンッ。 「あっ、カエルだ」 緑のカエルが小さな体を雨に濡らして、元気に跳ねていた。 「えっ、ちょっと待って。そっち行ったら」 カエルは道路の中央に向かおうとしている。 その様子に祐羽は青くなる。 車に轢かれるんじゃ…。 祐羽は慌てて駆け寄ると、今のうちに軌道修正だ!と進行方向を塞ぐ。 それから座り込むと手で捕まえようとした。 ピョンッ。 「あっ」 カエルは捕まっては危ないと思ったのか、祐羽の手を避けると方向転換した。 それから止まる。 「ええっ?!止まらないで帰ってよ!ほらっ」と手をパタパタさせて促すと、煩そうにしてカエルは道沿いの家にある鉢植えの隙間へと入って行った。

ともだちにシェアしよう!