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とはいえ、九条の家には沢山の部屋があるので、いつかは他の部屋も可能な限り見てみたい。
それが今の祐羽の密かな野望であった。
そんなお楽しみも終わり、九条が風呂へ入り暫くしてリビングへ戻って来るのを確認すると、祐羽はキッチンへ向かいグラスを用意した。
「九条さん、何飲みますか?」
「水をくれ」
「はいっ」
水をご所望に笑顔で返事をした祐羽は、グラスにミネラルウォーターを注ぐとソファに座る九条の元へと持っていった。
この何気ない事だが、祐羽には九条の為に何かしたという達成感というか役に立てたという満足感を味わう事が出来るお楽しみその②だったりする。
日々の生活の何気ない行動も、九条が関わっているだけで祐羽の幸せ貯金になっていた。
九条の飲み終わったグラスを片付けて、戻れば1週間ぶりの恋人の時間。
あれだけ緊張していたものの今は九条の体温を感じて普通に暖かさを味わう余裕が出来ていた。
祐羽も九条の立派な恋人として、成長しているのだ。
「祐羽」
「あ…」
だからこうして顎に手を添えられれば、恥ずかしいけれど目を閉じてキスを受け入れる事も出来る様になっていた。
「ん…っ」
九条さんとキス、まだ恥ずかしいけど好き…。
それも優しいキスに限る。
「!!」
舌を絡めてのキスは別だった。
まだ初心者である祐羽に、九条は遠慮なく熱烈なキスを仕掛けてくる。
歯列をなぞられ上顎を撫でられてはゾクゾクと背筋に甘い痺れが走り、舌を絡めて吸われると腰に力が入らない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…っ」
漸く解放されて祐羽が荒い息を整えている間に九条に抱き上げられる。
「まだ終わってないぞ」
「…っ!?」
その言葉に目眩を起こしそうになった。
見上げた九条にキスを落とされながら寝室へと運ばれてしまう。
「わあっ…ンンッ!!」
ベッドへ下ろされ、すかさずキスを施されては祐羽に抵抗する隙も無かった。
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