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いやいやいや、僕。
反論なんて出来る立場じゃないだろ?
これからは本当に気をつけよう。
僕はよくても九条さんは社長さんだし、組長さんだもん。
今は他の組員さんも居るから、親分らしい姿を見せなくちゃだし。
僕と一緒に寝るなんて…カッコつかないよね…ごめんなさい、九条さん。
九条が本当に寝たものと信じて祐羽は心底謝った。
よし。僕、これからはもっと頑張って九条さんの隣に立つのに恥ずかしくない様に振る舞うぞ。
頑張らなきゃ!
決意を新たにした祐羽は、両手を握り締め真剣な表情でキラーンと目を光らせると、フンッと鼻息を荒くさせた。
そんな決意をする分かり易い自分の姿を他の全員が(また何かトンチンカンなやる気を出してるな)と見守っていた等、知るよしもなかった。
決意を新たにした祐羽は、賢い顔をして(うむ。)と一体自分がどれだけ寝ていたのか?と時間を確認する。
驚く事に既に10時を過ぎていた。
僕、寝過ぎ…!
けれど到着時刻まで、まだ1時間ちょっと。
随分時間は経ったとはいえ、物理的距離はそう易々とは縮まらない。
とはいえ、地図で見たらあんなに遠いにも関わらず、あと1時間もすれば現地に居る事になるのだから不思議な感じだ。
「それにしても新幹線って速いですね」
祐羽は窓の外を流れる景色を見ながら改めて感嘆する。
「昔の飛脚さんとかは、まさかこんな速い乗り物が開発されるなんて思わなかったでしょうね…見たら驚きますねきっと」
「…だろうな」
「あっ、もしも僕が新幹線の中で空中に浮かんだら新幹線の壁にぶつかりますかね?」
「それはない…慣性の法則」
「そういえばドクターイエローっていう新幹線見たら幸せになれるらしいですよ」
「…今、幸せじゃねぇのか」
ボソッと九条が呟く声は祐羽には聞こえなかった。
何だか頑張ろうという気持ちが先走り、自分でも気づかないうちに祐羽が興奮していたからだ。
「あっ!」
「…」
今度は何だと視線が集まる中、祐羽はガサゴソと鞄の中を再び漁ると袋を取り出した。
「おやつ持って来てたんでした!遠足にはおやつは必需品ですから。10時ですし食べませんか?」
「…」
怒濤の祐羽タイムに周囲は沈黙。
「九条さん、どれから食べますか?」
「…」
そして九条は黙ってスティックタイプの菓子を指差した。
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