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パチパチとゆっくり瞬きし目を覚ました祐羽は、どうやら爆睡していた様だった。 次に肩に温もりを感じて、はたと気づく。 この温もりは… 「起きたか?」 九条の声が上から降ってきて、祐羽は慌てて乗せていた頭を上げた。 あぁ、やっぱり…っ。 「す、すみません!僕、寝てしまって…しかも九条さん肩重かったですよね…っ?!」 九条の肩に頭を乗せて寝ていただなんて、重たくて動けなくて迷惑だったに違いない。 昨夜は楽しみでなかなか寝つけず、朝は早くに起きて若干寝不足気味であった上に乗り物酔いをしていたので睡眠をとった自分はスッキリしたが、九条は逆に疲れたのではないだろうか。 「あーっ!!スーツに皺もよってる!本当にごめんなさい…っ!」 スーツの皺を伸ばそうと手の平でアイロンがけを始めた祐羽に九条が手を重ねてきた。 「もういい。気にするな」 「いえっ、そんな無理です。気にします…っ」 半べそで食い下がる祐羽に眞山が声を掛けてくる。 「月ヶ瀬くん。大丈夫です。予備のスーツもありますし、皺もクリーニング専門業者に出しますので」 「そういうことだ」 九条がそう言って祐羽の手を肩から下ろさせた。 「本当にすみませんでした…」 それなら安心だが、とはいえやっぱり申し訳ない。 そんな祐羽を気遣ってなのか「俺も一緒に仮眠した」と九条が言うものだから、単純にも心が軽くなった。 「九条さん…」 「お前の寝顔は間抜けてるからな。俺も睡魔に誘われた」 「えっ?ちょ…っ、僕、間抜けてなんかないですよっ!?」 まさかの間抜けてる発言にプリプリ怒ったが、元はといえば自分のせいなのだから、と祐羽は唇を尖らせて最後はそれ以上の反論を飲み込んだ。

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