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普通にしててもカッコいいのに、笑うと本当にカッコよくて…僕も大人になったら、やっぱり九条さんみたいにカッコよくなりたいなぁ。
「何だ」
「いえ、別に、何でもないですっ」
そんな九条の顔を改めて見て、祐羽は恥ずかしくなってくる。
そんな気持ちを誤魔化す様に「あ~、その、九条さんは広島に行ったことありますか?」と話題を振ってみた。
「あぁ…何度かあるな」
「じゃぁ、九条さんに案内をお願いしたいです」
祐羽は鞄の中から1冊の本を取り出すとフンスッと張り切って表紙を見せた。
「見てください!」
【ぷるるん広島】と書いてあるその本は観光スポット等が事細かに記されている人気の雑誌だ。
その雑誌には付箋が幾つか貼ってある。
祐羽が空いている時間に、広島旅行を想像しながら行きたい場所やお土産などに付箋をつけていったものだ。
「ちょっと調べてみたんです」
「調べたのか」
「はい。僕、親以外と何泊もする旅行が初めてなので…楽しみです!」
そう言ってニコニコ笑いながら開いて見せた。
「やっぱり定番の場所は行きたいと思っていて
、宮島は絶対行きたいです。僕、どうしてもお願いしたいことがあって…って、あ、無理ですか?」
「いや。他には何処に行きたいんだ」
九条が快諾してくれたことで安心した祐羽は、次のページを開いて説明していった。
その結果。
乗り物に弱い祐羽は下を向いて文字を読んだことで完璧に酔ってしまいグッタリ。
「寝てろ」
「う…。すみません…」
大きな九条の腕に抱き寄せられ、情けなさと申し訳なさに謝る。
「いいから目を閉じろ」
その恋人の温かさに、気がつけば安心感から素直に眠りに落ちた祐羽だった。
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