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話は終わったと眞山が前をしっかりと見据えたのを確認した祐羽も意識を戻した。
取り敢えずこの件は頭の隅に置いておくことにするが、せっかくの旅行だから今はあんまり考えないでおこうと思った。
今回は九条と旅行に来たのだから楽しまなければ…と、祐羽は街中の景色に目をやった。
自分が住んでいる東京とは全く違う景色が車窓を流れていく。
東京ほどに高層ではないが、比較的高く大きな建物が左右に並び、横の道をたくさんの人々が歩いて行く。
地元の人から荷物を背負った観光客まで様々だ。
バスと車の他に中央を路面電車が行き交い、初めての光景に暫し黙って見つめる。
僕が運転手なら絶対に無理だな。
柳さん広島初めてだと思うけど、怖くないのかな?
路面電車が走る道を自分が運転する姿を想像してみるが、どうにも怪しい。
そもそも自分が運転免許を取れるかどうかも…それとも東京に住んでいるなら移動は電車で事足りる。
運転してみたい様な、してみたくないような…。
でも1度くらいはしてみたいかも。
「あっ!!お城だ!」
飽きる事なく外を見ていた祐羽は、城を見つけて小さく声を上げた。
「九条さん、お城がありますよ」
「そうだな」
「時間あったら行きたいです」
なんだか違う土地に来ると楽しい気持ちが沸き上がり、それが大好きな九条と一緒なのだから余計にだ。
ワクワクした心が声にそのまま出ている祐羽は見えない尻尾を振りながら、流れる景色を楽しんだ。
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