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『いいヤツと』…って。
紫藤さん、本当にそう思ってくれてるのかな…?
僕は何の取り柄もない高校生で、一般人だし。あとは男同士だし、九条さんは社長さんでヤクザの組長さんだし。
紫藤の顔を見ると、やはり悪い印象を受けない。
隣の九条をチラッと見るが、いつもの無表情だ。
九条さん。
本当に知られてても大丈夫なんですか?
そんな心配が一気に頭を巡ったものの紫藤の様子を見る限り咎められたりすることもなく、ごく自然だ。
「あ?その顔、関係知られてること心配しとんじゃろ?」
まさにその通りだ。
しかし、うんもすんも言えず戸惑い黙っていると紫藤が手をヒラヒラさせた。
「な~んも心配せんでええ。昔から一臣のやることは、ちょーっと…いや、かなり変わっとるからな。今更恋人が男でも驚かん」
「そ、そうですか?」
「そうそう。俺はそういうんは個人の好みの問題じゃけぇ、全く気にせん。好きなもんは好きなんじゃけぇ」
あっけらかんと何でもない様に言い切る。
しかし、次には神妙な面持ちでジッと祐羽を見つめてきた。
「とはいえ…俺と律以外には黙っとった方がええけどな。偏見とかだけじゃなくて、妙なことに巻き込まれかねん」
妙なこと?それって…?
祐羽が言われた事の意味が分からず考えに浸ろうとする前に紫藤がヒソッと小声で話し掛けてきた。
「おいっ、ちょっと」
「?」
なんだろうかと耳を近づける。
「一臣に愛想尽かして別れて、もし寂しかったら女紹介してやるけぇ、いつでも言えよ」
「!?」
お、女って…?!
驚く祐羽は次の瞬間横から伸びた腕に抱き込まれ、目の前では外崎に「それはさすがに失礼ですよ?!」と説教を食らう紫藤が居たのだった。
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