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「殺すぞ」 祐羽へ女を宛がう、また自分と別れるという縁起でもない発言に珍しく表情を露にして九条が紫藤を睨み付けていた。 祐羽は抱き込まれた姿勢のまま九条と紫藤のやり取りを見守った。 別れるなんて、そんなこと無いのに…。 今、九条と別れるなんて全く考えもつかない。 ふたりは付き合ってまだ半年も経たないのだ。 それも最近ようやくしっくりと歩調が合ってきたというのに、なんてことを言うのか。 初めての恋人。 それが同性で年上の大人で、おまけにヤクザという特殊な関係だ。 ただでさえ前途多難な関係だと、疎いお子様な自分でも理解出来ている。 だからこそ、この関係を大切にしたいのだ。 それを壊す様な発言は未来を暗示されているようで、怖い。 これから先、九条さんと別れて女の人と付き合って結婚? 「…」 暫く想像してみたけれど、全く思い描けない。 逆に九条と過ごしたこの数ヶ月のちょっとしたやり取りを反芻するだけになる。 僕、別れたくない…。 だから心配しなくて大丈夫です、九条さん。 そういう思いを込めて、祐羽は九条の回された腕に手を掛けてトントンと軽く叩く。 それから見上げた。 すると九条も祐羽を見下ろして、視線が絡むとお互いに通じるものがあった。 不思議…。 九条さんに僕の気持ち伝わってる気がする。 祐羽がニコリと照れ笑いをすると、九条が優しく目を細めた。 「あ~はいはい。もう、いいか?」 その声にハッとして声の方を見ると、紫藤が腕組みをしてふんぞり返ってこちらを見ていた。

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