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「いや」 九条はサラッと言い放つと祐羽の休憩が終わるのを待つ体制だ。 いや、じゃなくて~九条さんが飲んでくれなきゃ意味ないんだけどなぁ…。 「九条さんも熱中症になるかもですよ?だから小まめに水分補給して下さい」 九条だって人間だ。 もしかしたらアッサリと熱中症になって倒れてしまうことがあるかもしれない。 普段、涼しいオフィスに居て移動も車、自宅は空調の効いた文句なし。 その反動で…という可能性もなきにしもあらずなのだ。 そう思うと、祐羽はソワソワしはじめた。 「僕、お茶買って来ます!あ、それともミネラルウォーターがいいですか?」 天気がいい為、この短い間でも気温は上がっていく。 我慢できる暑さだが、熱中症はいつ起こるか分からないのだから。 「九条さんだって水分取ってください。僕、心配で観光どころじゃなくなっちゃいます…」 じっと見上げれば、九条は暫くしてはぁっ…と小さく溜め息を溢した。 「お前。下手な女より質が悪いな」 そう小さく呟くと頭を「?」にしている祐羽の手からペットボトルを奪った。 祐羽が「あっ、それ僕の!」と言ったが、知ったことかと唇をつけ、ひと口飲んだ。 「ほら。飲んでやったぞ」 手に戻ってきたペットボトルの中身は、九条のひと口によって大量に減っていた。 これでは、この後の水分補給が困難だ。 「お茶…」 ショボッとする祐羽を見かねて「俺、買って来ます」と声を上げ向きを変えた中瀬に「僕も皆さんの分、買って来ますね」と、後を追おうとする。 そんな祐羽の首根っこを捕まえた九条。 「お前の目的はそれだな」 「では、全員で水分を買いましょう」 九条の言葉に合点のいった眞山が、そう提案した。 そうして祐羽と旭狼会一行は、水分を求めて桟橋へ戻ったのだった。

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