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「あっ!ここに女の神様が奉られているみたいです。三姉妹の神様なんだそうですよ」 観光客の参拝する後ろから順番を待ちながら様子を見ていた祐羽が九条に伝えると、背後で眞山が注釈を入れてきた。 「こちらには絶世の美女である神様が3柱祀られていて、宗像三女神と言われていますね。結婚や縁結び、美のご利益があるということですよ」 そう眞山がニコリと伝えてくれるが、それを聞いて祐羽はギクリとした。 結婚かぁ…。 僕の場合、九条さんがいるから結婚は考えられないよ。 祐羽も子どもなりに遊びの中でだったり、テレビのドラマやCM、両親を通して結婚について考えたことはある。 いつか好きな人が出来て結婚して、家庭を持って…どんな人と結婚するかな?とワクワク想像を膨らませたこともある。 それは恋愛に疎く興味の無かった祐羽なので曖昧にぼやけた想像にすぎない。 けれど、この年齢になり九条とつきあう事になった今、自分が思っていたよりも現実味を帯びてきていた。 でも、もしかしてヤクザの跡継ぎが要るから、九条さんはいつか結婚するかもしれないんだ。 そうしたら僕は別れなきゃいけないのかな…。 「おい」 「!?」 自分の考えに耽っていた祐羽は九条に声を掛けられて我に返った。 「順番だ」 祐羽は慌てて賽銭を出す為に財布をガサゴソさせる。 「これを入れろ」 自分が出す前に眞山から九条へ渡された小銭が、祐羽の前に出された。

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