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祐羽が部屋を出ると、そこには白田ともうひとり昨夜紹介を受けた組員の桐谷が立っていた。
「「おはようございます」」
白田と違って桐谷は寡黙なタイプなのか、あまり自分から喋らないが怖い感じはない。
祐羽の側に着く人間は、周りからあまり浮かない様に考えられているのか年齢的に若い組員で構成されていた。
「おはようございます。今日も宜しくお願いします」
祐羽が頭を下げて挨拶をすると、中瀬に「遅くなるぞ」と促されエレベーターに乗った。
1階に下りてホールを抜け外へ出ると、目の前には既に柳が車をつけて待ってくれていた。
その側にスラリと細身でスタイルのいい人物が立っており、柳と何か話している。
誰だろうと首を傾げた祐羽だったが、こちらへ気がついた柳の視線を追って、その人物がクルリと顔を向けた。
あっ!この前の!!
「おはようございます」
「柳さん、おはようございます」
柳に挨拶を返した祐羽は、それから側に立っていた人物に視線を向けた。
「おはようございます。急にお訪ねして申し訳ありません」
そう申し訳なさそうに謝ったのは、先日会った紫藤の秘書の外崎だった。
相変わらずの美貌に涼やかな色合いの私服が似合っている。
「おはようございます。いえ、全然大丈夫です!」
でもどうしてここに?という疑問が顔に浮かんでいたのだろう。
外崎が眉を垂らして困った顔を見せた。
それさえ艶っぽい。
「ありがとうございます。実は隆盛さん、紫藤から祐羽さんの案内をするように言い使いまして」
「えっ?紫藤さんから?」
すると中瀬が「さっき眞山さんからも連絡入ったので了解です」と伝えると外崎がホッとした顔を見せた。
「今日はどうぞ宜しくお願いします」
外崎が頭を下げたので祐羽も慌てて下げた。
「はいっ。お願いします!」
元気よくペコッと頭を下げてから顔をお互いに見合わせたふたりはエヘヘ、クスクスと笑い合った。
「さて、出発しようぜ!」
「はーい!」
「そうですね」
中瀬の元気な声に祐羽も手を挙げて応え、外崎も微笑みながら頷いた。
組員含め、その場に居合わせた人間は、そんな可愛い3人組に視線を釘付けにされるのだった。
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