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既読がついて、わあっ!と喜んでスマホ画面を見つめること3分、5分…。
「おっ、起きて来たか」
ベッドルームから出てきた祐羽を迎えた中瀬は、祐羽の様子に怪訝な顔をした。
「おい。何だよ、その顔」
漸く顔を見せたと思えば、それはなんとも言えない情けない顔だった。
九条が忙しいのは知っているし、返信さえ難しい時があるのも知っている。
けれど祐羽の中でもしかしたら最後に何かしら来るのではないかと期待してしまった。
その結果がこうだ。
「分かってるんです。分かっているんですけど、やっぱり何かもう少しお返事あるかなって…」
自分は呑気に観光でやって来た学生だからいいが、九条はそうではないのだから我が儘は言えない。
その分、やっぱり少しはオマケが欲しいのだ。
「あぁ~まぁその気持ちも分かる」
祐羽の様子に中瀬も同意した。
中瀬さんも?
キョトンと顔を上げると中瀬と視線が合う。
「何だよ?俺だってそういう経験してるぞ。でも、お前より俺の方がよっぽど連絡来なくて可哀想なんだからな」
「中瀬さん、恋人居たんですか?あっ、すみませんっ!中瀬さんカッコイイけど、そういう話は聞いたこと無かったから…」
慌てて訂正する祐羽に中瀬は口を尖らせた。
「…いねぇよ」
「えっ?!」
驚いた祐羽の視線から逃れた中瀬は大きく溜め息を溢した。
「俺、そういうの要らない人間だから…」
誰でも恋人が欲しいと思うわけではないし、言えない事情も有るだろうことに気がついた祐羽は慌てて頭を下げた。
「すみませんっ!僕、そういうことに頭が回らなくて…」
「えっ?いや、まぁ…でも気になる人は居るっていうか…って、何喋らせてんだよ!?ほらっもういいから仕度出来たら出るぞ!!」
顔を赤く染めながら一気に捲し立てた中瀬に「さっさと準備開始~!!」と言いながら追い立てられて、祐羽は慌てて準備に向かった。
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