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翌日、祐羽は昨日の疲れもあって朝はゆっくりとした時間に目が覚めた。 隣を見ても広いベッドは綺麗に空いたままで、どう見ても九条が戻ってきた痕跡は無かった。 「…九条さん、帰って来てないんだ」 ベッドサイドで充電していたスマホを手にして確認してもやはりリャインも届いていなかった。 九条の忙しさは理解しているつもりではいた。 今回は旅行も兼ねていたので、祐羽の考えでは1日だけ仕事で他の日程は全て一緒に過ごせると思っていたのだ。 しかし蓋を開けてみれば九条とふたりで楽しんだ時間は少ない。 「はぁ~…仕方ないよね。ふぅ…我が儘言っちゃダメだよね」 分かっていてもついつい溜め息をついてしまう。 すると祐羽の憂いを察したのかどうか、タイミング良く通知音がする。 「あっ!!」 確認してみれば、それは祐羽が今思い描いていた人物で、直ぐに画面を開いた。 『起きたか?明後日の夜に戻る。それまで好きなことしてろ』 「明後日の夜か…」 明後日の夜まで会えないんだと思うと一気にガッカリ感が襲ってくる。 すると、追加で通知が来た。 『夜、出来たらまた連絡する』 夜まで待たないとなんだ…。 今すぐ連絡をしたいが、九条の都合がある。 自分の様にお気楽で旅行へ来ただけではない。 大切な用があって来ているのだから、きっと向こうでも神経を磨り減らしながら仕事を熟しているのだろう。 そう思うと、自分は決して手を煩わせてはいけないと祐羽は強く感じた。 いつまでも側に居させて貰う為にも九条が仕事をやり易い様に、気持ちが安らぐ様に自分が気を使わなければ。 自分に出来ることといえば、それくらいだ。 『分かりました。夜になるのを楽しみに待っています。お仕事がんばってください』 そうメッセージを送ると直ぐに既読がついた。

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