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暗転

違う街並みを見ながら歩くのは楽しいもので、特に暗くなり始めた街は普段と違う姿を見せてくれる。 近道をしようと横道へと入ると、少し先にホテルのてっぺんが姿を見せた。 「あっ、あれですかね?ホテル見えて来ましたよ!」 わーい!と祐羽がとてててっと数歩小走りに駆けると、中瀬が「おい、待てって」と笑いながら駆け寄る。 それを微笑ましく見ていた外崎も「元気だなぁ…ふふっ、ふたりとも待ってください」と足早に歩を進めた時だった。 「うわっ?!」 背後で声が上がったかと思うと、大きく鈍い音がして、その場に居た全員が振り返った。 するとそこには地面に倒された紫藤の組員と、その向こうに数人の見知らぬ男達が立っていた。 どう見ても堅気ではなさそうな雰囲気に、祐羽はその場に凍りつき、旭狼会と紫藤組組員が戦闘態勢になる。 「とにかくホテルに逃げましょう!」 「はいっ!」 中瀬は固まっている祐羽を庇い、そのふたりを外崎が守る様に走り出す。 周囲には裏道のせいか助けてくれる様な人影げは一切ない。 柳が相手からの殴打を寸でで受け交わしすと、緊迫した様子で「ここは任せます!!」と白田達に声を掛けて祐羽達の後を急いで追う。 パニック状態の祐羽は手を引かれて訳も分からずなんとか走っていたが、中瀬の運動神経の良さに混乱した足が上手く着いて行かない。 「うわっ…!!」 「大丈夫か?!」 「は、はいっ!」 危うく転げそうになった祐羽が何とか持ちこたえた時だった。 「やっ…!?ンンッ!!」 白の大きな車が真横に現れたかと思うとドアが開き中から複数の腕が現れ、道路側に居た外崎の口を塞ぎ中へと引摺り込んだ。 「外崎さん…!!」 絶句する祐羽の背後で中瀬が叫び助けようと手を伸ばすが、その手を逆に男の太い腕に掴まれた。 「な、中瀬さん…!!」 「くっ、逃げろ!!」 そう言われても反射的に中瀬を取り戻そうとしがみついた祐羽だったが、助手席から降りた男に軽々と抱えられ後部座席へと素早く放り込まれてしまう。

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