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「あうっ!!」 「大丈夫か?!離せ、この野郎…!!」 盛大に体を打ち付けた祐羽に中瀬が心配そうに声を掛けてくれるが、ガッチリ男に抱き締められて身動きが取れない状態だ。 そして外崎も抵抗しているものの既にテープで口を塞がれ逃げ出せそうもない。 痛みで痺れる体を抱えながら祐羽は嫌な予感に蒼白となる。 助けを求め何とか首を持ち上げ外を見たが、もう一台車が道を塞ぎ柳達がこちらへ駆けつけることを妨害しているのが確認できる。 おまけに多勢に無勢の相手と対峙している姿を見れば、直ぐには助けには来られそうもないことは一目で分かった。 絶望を感じた祐羽を乗せ、車は急発進をすると夜の街を走り出した。 「どいつが誰だ?」 外崎の腕はテープに巻かれ、暴れる中瀬にもテープが巻かれそうになる中、助手席の男がそう言った。 「コイツは確実に紫藤んとこの外崎だ」 束縛されて抵抗しきれない外崎の肩を馴れ馴れしく抱いている男がニヤニヤしながら顔を寄せる。 「遠目には見たことあったが、近くで見てもまんま女だな」 いやらしい目つきで男が耳に息をフッと吹き込むと、外崎は嫌悪を滲ませる。 「本当に男なのか?実は女だったり…胸は、やっぱ無いな」 「貧乳かもよ」 「育ててやるか」 バカにする笑いが起きた後、男が暇を持て余す様に外崎の無い胸を揉みはじめた。 その行為に外崎が信じられないといった顔で悲痛な声を漏らし何とか逃げようと体を捩る。 外崎さんが…っ、助けなきゃ! それを見て祐羽は恐怖を捨てて思わず身を乗り出した。 「やっ、やめて下さい!!」 「あぁっ?!うるせぇ!」 すると機嫌を害したらしい男が容赦なく祐羽の頬を平手打ちし、その衝撃に祐羽は一瞬意識を手放しそのまま後部座席に沈んだ。 痛さと怖さと初めて人に悪意を持って叩かれたショックで祐羽の目からは自然と涙が流れてきた。 「ガキが大人のすることに出しゃばるんじゃねぇよ、バカが」 恐怖で体が縮こまり硬直する祐羽に、中瀬と外崎が目を剥く。 動かない祐羽を心配して駆け付けようと必死に抵抗するが、男達からすれば赤ん坊がむずがる程度の物だった。

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