697 / 1012

13

「他の方法も考えてみようぜ。何かあるかもしれねぇし」 「そうですよね…諦めたらダメですよね。僕も何か方法がないか考えてみます」 「大丈夫。きっと九条さん達が助けに来てくれるよ」 「外崎さん…。そうですね、頑張ります」 「ふふふ、いい子いい子」 「わぁっ?!」 外崎に抱き締められて驚きつつも嬉しそうにしがみつく祐羽の顔を見て、中瀬も暫し癒され頬笑むのだった。 式が漸く終わり九条が紫藤と並んで部屋を退室すると、そこには眞山と城崎が待ち構えていた。 特に慌てた様子は無いがその視線で察すると、九条と紫藤は挨拶を早々に済ませ車へと向かった。 普通ならこうはいかないが、紫藤は父親に、九条は篁に後を頼み問題は無い。 こういう時に利用出来る太いパイプは有り難かった。 「あれあれ~おふたりさん、急いでどこ行くの?もう帰っちゃうの?」 呑気な声と表情で塔ノ沢が目の前にフラリと現れた。 あからさまに嫌な顔をして見せるが、塔ノ沢は意に介さない。 「せっかくだし、この後打ち上げでも行かない?」 「うるせぇっ、何が打ち上げなぁ!邪魔じゃ!!」 「えっ、酷い。これだから広島弁は怖いとか言われるんだよ。あ~あ~残念だなぁ」 ちっとも残念そうにない様子で塔ノ沢は笑う。 構っている暇は無いと塔ノ沢を無視して九条と紫藤は足を速めた。 塔ノ沢が「じゃぁ、またね」と笑いながら、車に乗り込むふたりを見送りに来た。 もちろん無視を決め込み塔ノ沢の事など直ぐに頭から捨て去った紫藤と九条は目の前に止まる旭狼会の車へと一緒に乗り込んだ。 「どうしたんな、何かあったんじゃろうが!?早よぉ話せ!!」 九条と紫藤は同じ車に乗るよう促された時に、とんでもない事が起きたことを理解した。 車が走り出した瞬間に紫藤が疑問をぶつけると、一瞬ことばに詰まった城崎が神妙に口を開いた。 「おふたり共、どうか落ち着いて聞いてください」 その様子から紫藤はスッと表情を消した。 「前置きはいい、はよ言え」 紫藤に底冷えのする程に睨まれて、城崎が一気に凍りつく。 それから頭をガバッと下げた。

ともだちにシェアしよう!