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「お前の時は俺も着いて行ける様に掛け合ってみる」
「お願いします…」
「もし一人でも、あの男が黙って後ろから着いて来るだけで特に何もされないから。大丈夫だから。な?」
「…はい」
それでも心配そうにソワソワする祐羽に中瀬が、元気に声を上げた。
「そうだ!トイレから帰って来たら一緒に寝るか?」
「一緒?」
祐羽がちょっと驚くと、中瀬が頷く。
「ソファくっつけたら寝れるだろ?」
中瀬が(どうだ?)と笑って見せた。
ソファに三人くっついて寝る、その様子を頭に思い浮かべるとなんだか楽しみになってきて、祐羽はちょっと笑って、それから頷いた。
自分の顔を見て少しホッとした様子の中瀬に「それより大丈夫か?限界来てないか?」と訊かれて「結構ギリギリになってきました」と祐羽が苦笑いで答えた。
それに対して中瀬が「あと少しだから頑張れ」と自分を励ましてくれていると、何かに気がついて顔をドアの方へと向けた。
「外崎さん戻って来たみたいだ」
その言葉に意識を向けると外に人の気配がある。
そして鍵の音がしたかと思うとドアが開き、外崎が室内へと押し込まれたと同時に男の視線が祐羽を捕らえた。
「おいっ、次!」
「あっ!」
男は祐羽の細い手首を掴むと強い力で引き寄せた。
戸惑いの声を漏らした祐羽の反対の腕を中瀬が掴み、外崎も側に駆け寄った。
「どっちかをコイツの付き添いに行かせてくれ!!」
「付き添いだ?」
男は胡乱な目をしてふたりを一瞥すると、中瀬の手を強引に外した。
直ぐ様、外崎が祐羽の腕を掴もうとするが叶わない。
祐羽はあっという間にドアの外へと連れ出されてしまった。
「逃げようなんて、考えんじゃねぇよ」
「違うっ、逃げようだなんて考えてない!!」
「待ってくれ!付き添うだけだから!!」
外崎と中瀬が必死に訴えるが、しかしそれは受け入れられるはずもなくドアは無情にも閉められた。
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