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◇◇◇◇◇ 九条の素っ気ない風を装いながらも、細やかな看病により回復した祐羽は、次の日にはスッキリと目覚めた。 アソコのチェックもされ、少し赤いからと薬も塗られてしまったりの看病を思い出すと恥ずかしいこと、この上ない。 看病とかこつけて薬を塗っている最中の反応を楽しまれ、腫れた乳首を治療と称して舐められ、結果感じて果ててしまった。 そんな裏話、薬を持って来てくれた中瀬には内緒だが…。 しかし、ちょっとエッチなおさわりはされたものの、一日中何もせず九条と寄り添って静かに過ごせた嬉しい休息となり大満足。 まだ少し節々に痛みはあるが、それでも普通に過ごす程度に動ける様にはなった。 服を着替えながら今日の予定に心踊る。 観光の予定だったのに寝込んだせいで、昨日の中瀬達との外出を一日遅らせて貰ったのだ。 きっと楽しみにしていたふたりも、ガッカリしたに違いない。 しかし、ふたりとも祐羽が早く回復するようにと優しい声を掛けてくれた。 中瀬さんと外崎さん、優しくて好きだな。 仲良くなれて本当によかった。 出会えて本当によかった! 「これもぜーんぶ、九条さんのお陰だよね。感謝、感、」 「何をだ?」 「わぁっ!?」 突然背後に現れた九条に祐羽は叫び声を上げ振り向いた。 「も、もぉ~。…九条さん。気配殺して近寄るのやめてください。僕の心臓が持ちません」 大きく溜め息をついてヘニョっとなった祐羽を見て九条がフンッと笑う。 「お前が鈍…」 「ん?えっ、何ですか?」 「いや。悪かった」 鈍いだけという言葉を聞き逃した祐羽が首を傾げると、特に思ってもないのに適当な感じで九条が返す。

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