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しかし、その楽しい思い出を作りも今日で終わり。 別れは当然訪れるわけで…。 広島駅では案の定、目を潤ませる中瀬、ホロリと涙を溢す外崎、そして子どもみたいにグスグスと泣いて、泣きすぎてとうとう九条の胸に顔を埋めている祐羽が居た。 「うっ、…うっ、くぅっ、うぇっ、ぐすっ」 お陰で九条のお高いシャツの胸元が濡れてしまっている。 そんな九条をはじめ、長身の男前達に雰囲気のある男達が囲むその中心で、わんわん泣く三人に周囲は何事か?!と興味の視線を恐々向けていた。 そんな視線を気にする余裕のない、三人は別れを惜しんで最後の最後に抱き合った。 「またっ、また三人で会いましょうねっ!」 外崎が口を震わせつつも口にすると、二人も頷く。 「絶対に!」 「はいっ!!絶対に会いましょうね!」 そんな三人を九条達は(一生会えない訳じゃないだろう)と呆れ顔。 そして、お供の組員達は(離れ離れにさせるのは可哀相だ…)と同情し、涙を誘われるのであった。 そうこうしているうちに、時刻となり新幹線に乗った祐羽と中瀬は、直ぐさま窓にへばりついた。 ホームからは、それを見送る外崎がその美貌を涙に濡らし手を振っていた。 (どこの感動ムービーだ)と九条と紫藤がやれやれと溜め息をつく横で、それぞれが泣きまくる。 「うぇっ、うぇっ、外崎さんっ、外崎さぁぁん!!」 貸し切り車両とはいえ、響くほどに泣く祐羽。 「ううっ、うっ、…グスッ」 普段は冷静な中瀬まで、今回は仕事の枠を越えてしまったようだ。

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