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「肩…?」 肩車には流石に呆れた様子の九条だが、実は祐羽の最近叶えたい願い事のひとつが肩車なのだ。 子どもの頃にやって貰って以来、大きくなった祐羽を余裕で肩車してくれる人間は、もはや身近には九条しかいない。 こんなお願い誰にも出来ないでいたが、今なら叶えて貰える。 「そんなものでいいのか?」 そんなものと九条は言うが、今はこれほどに嬉しいことはない。 離ればなれになる怖さが去った今、愛情を直に確かめ合える方法としてはうってつけだ。 それに、祐羽は九条に抱っこされるのが何よりも大好きなのだ。 「はい!お願いします!」 祐羽がニココッと笑って頷くと、九条が手を伸ばした。 「ほら」 「わあっ!」 軽々と片腕に乗せる形で抱き上げられ、一気に視界が高くなる。 落ちる!と驚いて思わず九条の首にしがみつくと、そんな慌てた様子の祐羽に九条がククッと笑う。 「落とさないから、安心しろ」 「笑わないでください。高いんですから、ここ」 「俺は毎日見てる」 「そうでした…」 「そんな調子で肩車しても大丈夫なのか?」 「だ、大丈夫です」 照れ隠しに笑った祐羽と九条の視線が絡み合う。 よかった。別れなくてすんで。 僕と九条さんはこれからも一緒なんだ。 嬉しい想いが溢れて、ぎゅっと抱きつくと、九条がしっかりと抱き返してくれる。 「九条さん、大好きです」 「ああ」 それから自然と触れ合う優しいキスをする。 涙で少ししょっぱくて。 でも、とても幸せなキスだ。

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