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「まぁ、結局その後アイツら虫の息だったけど」
ドンパチ無しに安堵した祐羽は湯呑みを手に取ると、お茶をズズッと啜り「ふぅ~」と一息、中瀬の言葉を見事に聞き逃していた。
「中瀬さんが無事で良かったです。人質って大変なのドラマとかマンガで見たので。お金とか条件とか要求されたりして、駆け引き難しいんですよね…」
いかにも博識っぽい顔と声で、終わった事に何故か悩み始めた祐羽を中瀬はスルーした。
「外崎さんは今回のどこまで知ってます?」「詳しいことは一切」
外崎が首を振る。
「組の幹部で宮崎って男の独断でってことらしいです。他は俺も詳しく聞かされてないから分からないですけど」
中瀬と外崎の話を聞きながら、蚊帳の外になるまいと祐羽も耳を傾ける。
「隆成さんが、相手の組は関係ないけど一応釘は刺しておいたって言ってたから、もう大丈夫だと思うよ。元々そんなに大きな規模でもないし、山口の地元組織だから」
外崎が安心して、と祐羽を気遣った。
「今回の事は一件落着ってことですか?」
「そういうこと」
ニッコリ笑い頷く外崎に、祐羽も「はぁ~良かった」と笑顔を返した。
そんな二人とは違い、中瀬は一抹の不安を残していた。
地方の小さな組織の男が日本最大ヤクザの傘下とはいえ、この界隈に名を馳せている九条の恋人を人質に取り引きするとは…いささか大胆にも程があるのではないだろうか?
その後の事を眞山に訊いても詳細は一切教えて貰えず、これからも祐羽の護衛を今まで通りしろと言われただけだった。
「本当に終わったのかな…?」
そして、九条と紫藤が今日揃って出掛けて行った事に一抹の不安が残り、中瀬は小さく呟いた。
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