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特別番外編『祐羽不動産見学案内』
こちらで3部も更新させて頂くことにしました。(今後は未定…)
久し振りの更新となりますが、フォロワーさんとお約束していた番外編を…。
本編前に箸休め兼、謎解明のお話となります。
◇◇◇◇◇
「おはようございます。本日こちらの物件をご案内させて頂きます祐羽不動産の月ヶ瀬祐羽と申します。どうぞ宜しくお願い致します」
祐羽が顧客に丁寧に頭を下げると、目の前のふたりが「よろしくな」「楽しみだね」と返した。
ここは新宿某所にある、超高級タワーマンション。
ネットで調べて頂ければ分かる通り、日本一価格の高いタワマンである。
ちなみに祐羽がこれから案内するのは九条の自宅があるマンションだ。
顧客と言ってはいるが、中瀬と外崎のふたりで購入する予定など、これっぽっちも無い。
中瀬と外崎がマンションを買うはずもなく、これから祐羽による『不動産屋さんごっこ』が始まるのである!
目的は、マンションの見学。
九条の自宅へ何度も来ている祐羽だが、実はまともにマンション正面から入ったことがなかった。
いつも車に乗せて貰って駐車場からほぼ直接エレベーターなので、ロビーがどんな風になっていてマンションに何があるのか殆ど知らない。
そのため今回、九条が仕事で不在の週末をこうして有効に活用し過ごす事にしたのだ。
まずは外観から紹介。
周囲をグルリと塀で囲まれており木々が青々と繁っている。
塀もその辺の家とは違い高級感溢れる作り。
豪邸か高級ホテルといった様子で、そんじょそこらのマンションとは大違いだ。
「凄いねぇ」と外崎が呟き、その輝くマンションを三人で見上げた。
「あうっ!!」
「大丈夫か?」
「見せてごらん?」
一瞬だが太陽の光に目がやられた祐羽に、背後のお付き達が狼狽する。
何かあれば自分達がヤバイのである。
夏も終わりとはいえ暑さも手伝って三人は早々に敷地内へ入る事にした。
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