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「一件落着」
「一件落着じゃないですよ、隆成さん」
慌てて出ていく議員達を見送りながら紫藤が笑うと、外崎が窘める。
紫藤は事をややこしくする悪い癖があるのだ。
元はと言えばお前らのせいだろ…と心で呟きつつ紫藤は黙って反省する素振りを見せた。
単純な外崎は「まったく隆成さんは」とブツブツ言って、この件はおしまいである。
そんなふたりのやり取りに中瀬が(お約束展開…)と思いながら見ていれば「おい、中瀬」と眞山に呼ばれ慌ててシャキッと姿勢を正した。
「眞山さん、本当にすみませんでした!俺が上手く回避出来てなくて」
「いや。お前ひとりに任せてるのも良くなかったが、まさかマンション内でとは思わないからな」
事の顛末を改めて説明すれば眞山も呆れている様だ。
「今回は特例だ。そんな風に気に病むな」
「はい…。それにしても、どうして急に戻って来られたんですか?今日は大切な会食があるって…」
「それがな。社長が急に戻ると言い始めて。何か虫の知らせ的なヤツかもな」
そしてふたりは、九条と祐羽へと視線を向けた。
「九条さん、すみませんでした…」
「殴られた所は大丈夫か?」
迷惑をかけてしまい謝る自分に、九条が様子を訊いてきたが、何やら大事にとられていて慌てて訂正する。
「えっ?!殴られてなんかないですよ!叩かれただけです」
「同じだろうが」
「でも、もう痛くないので大丈夫です」
叩かれた時は痛かったが、もう全く平気だったので安心させるように笑ってみせた。
「ならいい。家に帰るぞ」
「えっ!?でも九条さんお仕事じゃ?あと、まだ探検してません!」
「仕事は終わった。探検は今度にしろ」
こうして祐羽は九条によって強引に帰宅させられたのであった。
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