848 / 1012

21

・・・・・ 眞山達に見送られエレベーターで九条の家に辿り着きドアを開けて中に入る。 「ただいまです」 挨拶をして靴を脱いだ祐羽は先を歩く九条にトテトテ着いて行く。 すると九条が「こっちだ」とリビングをそのまま通り過ぎて奥へと向かう。 「えっ?」 何だろう?と思い着いて行くと、祐羽の部屋も九条の部屋も、ウォークインクローゼットというには広すぎる部屋も全て通り過ぎて行き、突き当たりを曲がる。 そこは壁の棚になっており、お高そうな小物が幾つか飾られていた。 その横を何やら探ったかと思えば、いきなり棚が動いた。 「えっ?!動いた!!」 スッと横へとスライドされた棚に驚いていた祐羽は、もっと驚く事になった。 「ここを押してみろ」 九条に言われて小さなボタンを押してみると、壁の一部からクルリと取っ手が。 その取っ手を九条が横に引けばドアの様に壁がスライドした。 その向こうには、広い部屋が出現したのだ。 「ええ-っ!!?凄っ!!忍者屋敷みたい!!」 大興奮の祐羽に苦笑した九条が招き入れてくれる。 「元々こっちに住んでいた」 「えっ?そうなんですか?!」 そう言われてみれば、部屋の内装や置かれた家具なども黒が基調になっており、九条のイメージにピッタリで納得する。 生活していた様子が伺えて、そこで何故今は住んでいないのか気になった。 そして、隠し扉の謎もある。 「九条さん、どうして今はこっちに住んでいないんですか?」 「…お前が住むなら黒より白の方がいいだろう?」

ともだちにシェアしよう!