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下ろしていると少し若く見えるらしく、いつもと違うと言って初めの頃、祐羽が照れながらモジモジしていたのだ。 いつかの体を合わせた翌朝の事を思い出して小さく笑ってしまう。 こんな事くらいで笑う様になるとは、自分もまだまだ可愛いところがあるなと、可笑しくなり鼻で笑った。 それから九条は直ぐに意識を切り替えた。 朝早くから出ていくとすれば緊急的な事だ。 と言っても、今回の緊急性は低いとは思うが…祐羽的には慌てて出掛けるに値する事なのだろう。 祐羽が、ひとりで何も言わずに出たのは疲れて眠っていた自分を慮ってのことだろうと察しはつく。 朝食の準備中、パンの歌ということは、パンを買いに出掛けたのは確かで、いつものパン屋でないのなら別のパン屋に向かった事になる。 この近くのパン屋で、祐羽の足で行ける距離の場所は一ヶ所。 「いや。最近一軒出来たな」 確か食パン専門店が出来たはずで、そこのパンを買って来ていた事を思い出した。 パン屋と食パン専門店の場所を頭に浮かべると、ここからのルートを検索する。 脳内検索を終えると、九条は木漏れ日を受けながら、住宅街の公園を突っ切って行った。 「パンパンパン~はどんなパン~」 先程よりは小声ながらも自作の歌をご機嫌に口ずさみながら、祐羽はテクテクと食パン専門店へと向かい歩いていた。 道が分からずスマホも忘れで、途方にくれショボッとしていた祐羽。 そこを通りかかった老齢の女性に心配そうに声を掛けられた祐羽がすがる思いで訊ねてみれば、運良く目当ての店を知っていたのだ。 道順を聞いてみれば、祐羽は少し遠回りしていたことが分かった。 けれど面白いことに、偶然にも店の近くまで来ていたのだ。 こうして、お礼を述べた祐羽は、意気揚々と食パン専門店に向かっていた。

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