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「もう少しでパン屋さんだ。九条さんに食べさせてあげられるぞ。くふふっ」
九条が「うまいな」と言いながら食べる様子を早くも想像してにやけてしまう。
そうなるとウキウキ、そして道も分かってお気楽にルンルンと心が弾み、気がつけばスキップをしていた。
自転車で横を通り抜けた男性に見られてハッとして止まると、普通に歩き出す。
街も目を覚まし自動車や人の行き来も多くなって来て、ひとりスキップする姿を見られるのはさすがに恥ずかしい。
何事もなかった様子でパン屋を目指すが、顔は隠せない。
フワフワの食パンまであと少しだ。
(あっ、あの人!)
すると向こうから歩いて来る女性が手にしている袋は、今から目指す食パン専門店の物だ。
その後ろからも別の女性が同じ袋を持って角から出てきた。
(あの角の向こうにあるんだ!)
教えて貰ったお陰で無事に辿り着く事が出来そうだと安堵する。
街角にあるお洒落な外観の小さな専門店。
「専門店かぁ…なんだか憧れちゃうな」
自分なら何の専門店を開くだろうか?
(お料理苦手だしな…おにぎり好きだし、おにぎり専門店?)
想像するも、デコボコでどんぐりの背比べみたいなフォルムおにぎりが並んでいる。
(ううっ、ダメかも…。じゃぁ、バナナジュースとか果物ジュースのお店とか?おおっ、それいいかも!)
自分がジュースを作ってお客さんに接客する姿が頭に思い浮かぶ。
(あっ、そうだ!中瀬さんと外崎さんも居たら、いつも一緒で楽しいかも)
そして脳内で、三人で楽しくお店を切り盛りする祐羽。
大好きなバナナジュースも飲み放題だし物凄くいいかもしれない!と、甘すぎる算段で未来に夢を膨らませていれば、角にやって来てきた。
曲がった先には、目当てである食パン屋の看板が見えた。
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