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まさかここに来て弟がふたりに増えるとは柳も思ってなかったが。 「それにしても柳さん運転お上手ですね。あと曲がる時とかハンドルをクルクルさせるのとかカッコいいです」 九条もそうだが、祐羽も本人はそんな事は微塵も計算していないが、なかなかに人心を掴むのが上手い様でこうして柳を密かに虜にしていた。 「僕も大人になったら免許取りたいです!そして柳さんみたいにカッコよくブーンってしたいです」 祐羽はエアハンドルで運転しながら得意気に笑顔を見せる。 その言葉に柳は何も返さず安全運転を継続、代わりに中瀬が「いや…無理じゃね?」と真顔で言った。 それから車は帰りにスーパーへ寄ると、九条の自宅へ向かったのだった。 ・・・・・ 年末まではあと二月程あるとはいえ、九条の会社はこの時期から少しずつ忙しくなっていく為、週末にもなるもそれなりに疲れも溜まる。 いくら体力気力があるといえども、裏家業も含めれば流石の九条も家に帰って疲れを取りたくなるもので、今日予定されていた取引先との会食は適当な理由を作り辞退した。 会食ひとつ断った程度で傾く様な経営はしておらず、また香水臭い女社長が主催する会食等ごめんである。 三十前半のやり手でスタイル抜群の美人社長は自分の価値を理解している為、その隣にもまた相応しい相手を求めているのだろう。 そこでどうやらお眼鏡に叶ったのが九条らしく、周波を送って来ているのは視線や声音等でよく分かる。 今までは経営手腕とその美貌で色んな男達を相手に思うようにやってきたのだろうが、九条にそれは通用しない。

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